5月26日・27日-またあの子と会えた日
5月26日。
僕は無事、あの子とまた会えることになった。
この日の午前中、僕は大学院説明会だった。
でも、正直大学院説明会なんてどうでもよくて、あの子に約1か月ぶりに会えることがうれしくて、ろくに話なんか聞いていなかったことを覚えている。
たしか、この日もあの子はバイトがあったのだろう。
僕は、待ち合わせの駅で待っていた。
待っていたというか、僕はそもそも待ち合わせの駅が好きなのだ。
だからずっと待ち合わせの駅をぶらぶらして写真を撮って楽しんでいた。
ーー
あの子が駅に来た。
あの子は僕とおそろいのリュックを買って、それを背負って来てくれた。
相変わらず、可愛いことをする子だ。
夜ご飯はコンビニで買った。僕もあの子もねぎ入りのうどんを買ってホテルへと向かった。
向かう途中、あの子がバイトで指を少しだけ切ってしまった話をしていた。
可哀そうで舐めてあげたいと思った。
ーー
ホテルへ到着した。ホテルに着いてしゃべっていると、あの子は「バイト終わって、急いで家に帰って・・・」みたいな話を始めた。
あの子は、バイトが終わって直接、待ち合わせの駅に来たという設定だったのに、だ。
こういう不器用さは本当にかわいい。
この時、ものすごく好きだなぁと感じたのを覚えている。
お互いお腹が空いていたので、ねぎ入りのうどんを食べた。たしか、ねぎだけじゃなくて柑橘系のさっぱりした何かが入っているさっぱりとした美味しいうどんだった。
うどんを食べている最中、僕は、しまった、と感じた。
ねぎ。ねぎを食べてしまったのだ。僕はそれが気になってあの子にいっぱいキスできなかった。この時、今後は絶対に食べ物には気を付けようと決意した。
ーー
5月27日。
僕はあの子と海遊館に向かった。
まず、おなかが空いていたので、海遊館の横のなにわ食いしんぼ横丁にあるお好み焼き屋さんで、ご飯を食べることにした。
あの子がメニューを真剣に選んでいる姿が可愛すぎて、僕はこっそり(?)写真を撮った。写真は載せないが、本当に愛くるしいお顔でメニューを選んでいる。
結構、お好み焼きが来るのが遅かった。でも、その待ち時間さえもあの子がいれば、光り輝く時間だった。
お好み焼きが来ると、可愛い声で「ひとくち食べる?」と言って、少しあの子のお好み焼きも食べさせてくれた。こういうところ、本当に好きだ。
その後、海遊館に向かった。
ジンベイザメは本当に大きく、迫力があった。イカは意外と魚みたいな泳ぎ方をしていて面白かった。
ーー
海遊館に入る前か入った後か忘れたが、あの子は、僕とバイバイした後、学校の男友達と焼肉を食べに行くと言っていた。
かなりショックだった。
僕と遊んだ日にいくら友達とは言え、他の男と遊ぶなんて、と思った。
でも、仕方ないのかなぁとも思っていた。
なぜなら、あの子はあまりにも可愛い。そして一緒にいて楽しい。
だから、きっとあの子には男友達がたくさんいて、僕なんかしょせん、その中の一人なんだろうと思った。
だから、ショックな気持ちを隠して、気丈に振舞った。
ーー
あの子は、透明な観覧車に乗りたいと言っていた。
でも、透明は特別で、待ち時間が長そうだと話すと「やっぱり普通のにしよ!」と言ってきた。
でもでも、直前になって、やっぱり透明もそこまで混んでいないことがわかると「やっぱ透明乗りたい!!」と言ってきた。
なんて無邪気で可愛いんだと思った。
観覧車からみる景色はなかなか良かったけど、それ以上に、あの子と昨晩ぶりに二人きりの空間になれたことがうれしかった。
観覧車と言えば、告白スポットでもある気がしたが、僕は何しろそういうキザなことが大の苦手だ。だから普通に、健全に観覧車を楽しんだ。
ーー
観覧車に乗り終わってから、あの子はSNOWでいいから写真を撮りたいといった。だから、海の近くのベンチに座って写真を撮った。恥ずかしかったけど、あの子が撮りたいと言うなら、と思って頑張った。相変わらず、自分の顔ははんぺんみたいだった。
ーー
事件は、この後起きた。
僕とあの子がバイバイした後、あの子は学校の男友達と焼肉にいった。
その時点で僕は、傷心だった。それなのに、さらに事件が起きたのだ。
どうやら、男友達と僕のことを話しているうちに、どうも僕のことでモヤモヤしたようだった。これだけ遊んでいるのに、付き合わないの?そういう話だったようだ。
僕に、「うちのこと本当はどう思ってるの?」そう尋ねるようなラインを何度も送ってきた。
その話が一旦終わると、あの子は悪びれる様子もなく、こんなラインを送ってきた。
いまから男友達君の家に行ってくる!男友達君、家に親いない日多いからよく行くんだ!
僕は、普通にブチ切れた。あぁ、そうか。あの子は、男友達の家に夜22時30分以降に行くような女の子なのか。しかも、それを僕と遊んだ日の夜にしちゃうような子なのか。
そう思った。
そしたら、あの子は急いで返事を返してきた。
今の送ったのうちじゃない!うちがトイレに行っている間に男友達君が勝手に送った!!
それを聞いて、僕はさらにブチ切れてしまった。嘘っぽいなぁと感じてしまったからだ。
しかし、数秒たって、ブチ切れたことに後悔した。
だからなんとか言い訳しようと思って僕は「うそぴょーん!!本当は怒ってなんかないよ!!ドッキリ返しだよ!」みたいな返事をした。
その場はしのいだつもりだった。
ーー
家に着いた。楽しかったはずなのに、なにか胸にモヤモヤした思いが残っていた。
とりあえず僕はあの子に電話をかけた。
どうやらあの子も同じ思いだったようで、すごく暗い雰囲気の中、電話が始まった。
具体的にどんな話をしたかは覚えていない。ただ、「こんなことなら出会わなきゃよかった」とか「もう絡むのやめよう」とか結構悲惨な内容だったことは覚えている。
僕もあの子も泣いてしまっていた。
結局のところ、あの子がモヤモヤしていたのは、僕といろいろしているのに、付き合ってはいないという点だったのだろうか。これは今でもわからない。
ただ、僕は、あの子に、なぜあの子と付き合えないか、理由を話した。
理由は簡単で、あの子には男友達が多すぎるからだった。
こんな男友達が多い子と付き合ったら自分が病んでしまうと思ったし、僕はあの子が僕のことを好きだなんてあまり思っていなかった。
だいたい、相変わらず、男Aとはたくさん電話していたようだったし、男Aと会うような話も出ていると聞いていたからだ。
それに、そもそも僕に、男Aの話をしてくる時点で、僕のことは何とも思っていないのだろうと思っていた。
でも、それを告げたら、あの子は意外過ぎる行動に出た。
あの子は、男Aと絡むのをやめると言い、ブロックして友達から削除したのだ。
ここで、僕は、あの子がこうやって、尽くしてくれる子なんだなと思った。
だから、素直に、好きだと伝えた。